2022/06/03 10:50
レシピフロムシリーズ、
マドゥライ、ムンバイから始まり、第3弾はコングナードです!
■ Recipe from KONGUNADU コングテイストを探し求めて ~コングナード編~
2016年、タミルナード北西部、コインバートルの西にあるポラーチという街にいた。
ミレットやラギなどの雑穀を使ったインド料理に興味をもっていた時期だった。
ケララとの州境のポラーチ周辺はココナッツツリー&ミレットフィールドが見渡せるのどかな場所だった。この地のキッチンで地産の食材を生かした素朴だが奥深い郷土料理を習った。
2019年、この年はベジに加え、ノンベジの郷土料理も視野に入れて訪れた。コインバートルを中心に東のセーラム、エロードとまわり、地域性を体感しながら食べ歩いた。
食材としてはココナッツを多用し、スパイスではコリアンダーが一歩前に出ていて、使用するスパイスの種類は少なめな印象。
マドゥライでみるパキッとした色ではなく、少し穏やかに濁り落ち着いた色合い。
”分かりにくい”個性だからこそ、求めて食べ歩く価値があった。
今回はその中から3種類をリリースしますので、是非それぞれ体感してみてください。
Recipe from KONGUNADU シリーズについて
◉ KOVAI MUTTON BIRIYANI ヴァイ・マトン・ビリヤニ
シーラカサンバライス*を使った、炊き込み式のマトンビリヤニ。フワフワパラパラではなく、しっとりと味が染みたビリヤニ。
名前にあるコヴァイとはタミルナード州第二の都市、コインバートルのことで、このエリアにある炊き込み式のビリヤニ食堂を何軒か食べ歩いた。
小粒米のシーラカサンバライスを使った炊き込み式のビリヤニは見た目の華やかさもなく、味に立体感もあまりない。
ただ食べ進むうちにジワジワとやってくる美味しさや、ほかのグレイビーやドライタイプのカレーと一緒に合わせても問題無く馴染み安定感もある。
オプションで用意しているグレイビーはマトンスープをベースにコリアンダーの酸味とココナッツの甘さを薄く敷いた味わい。途中からビリヤニにライタと共に合わせて変化をつけて。
*シーラカサンバライスとはタミルナードゥ州で主にビリヤニなどに使われる小ぶりのお米。プリっとした食感とほんのりクリーミーな香りが印象的。
◉ ARAITHUVITTA SAMBAR アライットゥビッタサンバル
ココナッツとスパイスを"アライットゥビッタ"(グラインドペースト)にしたマサラがベースのコクと丸みのある味わいの豆と野菜のカレー。
削りたてのフレッシュココナッツの食感とテンパリングしたココナッツオイルの香り。
砂の岬で普段作り続けているサンバルは、オレンジ色でキリッとしながらも滋味深い味わいだが、このサンバルはキレがない分、丸みとコクがあって穏やかな味わい。
郷土料理に詳しい家庭の主婦に習ったこのサンバルは、コリアンダーを中心としたスパイスとココナッツをグラインドしたペーストがボディになっており、削りフレッシュココナッツもふんだんに使い、ココナッツオイルで香りも付けることで、この地らしい(タミルナード北西部、ケララとの州境近いエリア)雰囲気のサンバルになっています。
◉ SALEM PICHU POTTA KOZHI セーラムピッチュポッタチキン
仕上げに絡めたカレーリーフの青い香りと玉ねぎの甘さとコク、大量に使用した胡椒の風味。
手で裂いたチキンがふわりとした食感を演出したドライタイプのチキンカレー。
チェティナードの肉料理に比べ、シグネチャーアイテムが少なく、味のインパクトもわかりにくいコングナート地方のノンベジ。
そんな中、調理法の個性で新しい食感が生み出されたこのカレーは、手で裂いた分、挽肉とは違うふわりとした食感。しっかりと効かせた胡椒が辛味だけではない旨味を演出している。
当時、いろいろな食堂でこのカレーを食べ続け、いい所を足したり引いたりしながら、完成させた一品です。